シンデレラLOVERS
「さっきから意味わかんないっ! 何よ、お弁当って!!」
与えられる愛に慣れきってる静葉に、相手を思いやる気持ちなんてきっとわからない。
怒りを爆発させる静葉を見つめながら、反対に俺の頭の中はどんどんと冷静になっていく。
人目を引く華やかで綺麗な外見。
昔の俺が執着していたそれは、今の俺にはどうでもいいものになっていた。
俺が愛情を与えるべき相手はもう決まってる。
「俺は日菜琉が好きだ」
自分の正直な気持ちを口にした瞬間、左の頬がパチンと乾いた音を立てた。
一秒遅れてそこにジワジワと痛みが広がる。
「最低っ!」
俺をひっぱたいた右手を握り締め、怒りで震えそうな静葉が俺に吐き捨てたセリフ。
確かに最低だな……。
おまえみたいな女に執着して、本当に大切な奴を目の前で突き放した。
ぞんざいに扱って……傷つけまくった。
熱があっても、優しい言葉の一つもかけてやらなかった……。
俺の為に浮かべてた笑顔を鬱陶しがって、適当にあしらって一緒にいるのが恥ずかしいとさえ思ってた。
こんな俺が日菜琉を好きになる資格なんてあるんだろうか……。