シンデレラLOVERS

「ただ喜ばせたかっただけなのに……なんで好きになっちゃったんだろ」


プレゼントを渡したときの照れたのを誤魔化すような困ったような表情。


ありがとうやごめんが苦手なところ。


平凡だったわたしの毎日。
それが善雅くんの見せるいろんな表情で感情を揺さぶられてたくさんの彩りをくれた。


イルミネーションの前で握ってくれた手の温もりは今でも忘れられない。


ずっと黙ったままだった芹華ちゃんが、そのまま何も言わず薄い黄色のハンカチを差し出してくれた。


差し出されたハンカチを見て、初めて頬に伝う涙の感触に気付く。


泣いてたんだ……わたし。



「……良い恋したね」


たった一言。

慰めてくれた芹華ちゃんの言葉で、涙は次々溢れ出して止まらなくなった。



善雅くんを想って浮かべた笑顔。

善雅くんを想って痛んだ胸。

善雅くんを想って流した涙。


全部がわたしを強くしてくれた。
今はそう思いたい……。



未練がましいって鬱陶しがられるかもしれないけど、失恋の傷が癒えるまで……そう思うことを許して欲しかった。

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