シンデレラLOVERS
彼氏と彼女
日菜琉への気持ちを自覚して、静葉と別れた次の日。
日菜琉への気持ちを自覚したところで、その想いを告げることは出来ない。
傷付けて突き放した後悔が、俺の日菜琉への気持ちの前に大きく立ちはだかっていた。
そんなことをずっと考えていたせいか。
六限目の体育でぶっ倒れた俺は、紘也の肩を借りて保健室のベッドに横たわっていた。
運の悪いことに、保健の先生は不在。
とりあえず手近な机にあった体温計で熱を計ってみる。
三十九度。
体温計の出した数字を見て、紘也は慌ててその辺にあったタオルを濡らした。
「知恵熱だな。珍しく悩んだりするから」
朝からやたら口数が少ない俺を見て何かを察したらしく、紘也が俺の額に濡れタオルを置いた。
熱でうかされた頭がじんわりと冷やされていく。
「しばらく寝てろ。楽になったら家まで送ってってやるから」
こう言い残して紘也は、体育の授業に戻るべく保健室から出て行った。
静まり返った保健室に普段より荒い自分の息遣いだけが響いてる。
なんで熱出してるときって……やたら心細いんだろ。
そう言えば、アイツが熱出したときにお大事にも何も言わなかった……。
……なんでこんなときに思い出すんだろ。
保健室のベッドから見上げた白い天井を見つめながら、日菜琉にひどい態度をとったことを思い出した。
そんなことしたら、落ち込んでますます熱が上がりそうだ。
とにかく今は頭を空っぽにして、眠ることだけに専念した。