シンデレラLOVERS
「……初めてだったんだよ。こんなに誰かを好きになったの……」
だから、善雅くんを目の前で失った時の胸の痛みは忘れられない。
「一ヶ月の間、わたしが彼女なの……恥ずかしかったでしょ?」
「…………」
わたしの言葉を善雅くんは否定せず、ただ何も言わずに黙り込んでいた。
沈黙は肯定。
靴箱にお弁当入れたり、門の外で待ち合わせしたり……。
わたしが隣に立つのが恥ずかしいって……ずっとそう思われていたんだ。
「ごめん……」
「謝らないで……もっと惨めになるよ……」
わかっていたことだけど、本人の口から言われるとやっぱり辛い。
わたしたちは釣り合わない。
それでも、わたしは善雅くんを喜ばせたかった。
「わたしはただ……笑って欲しかった」
ただ善雅くんの笑う顔が見たかった。
ずっと想ってきた気持ちは、何をやっても全然善雅くんには伝わらなかった。
涙で滲んだ視界には、苦い表情で目を伏せている善雅くんが映る。
必死に涙を堪えていたわたしの体が、
「っ!?」
気がつけば善雅くんの下になっていて、真剣な顔をした善雅くんに押し倒されていた。
……怖い。
自由の効かなくなった体に、強い男の子の力が伝わってくる。
「俺を好きでいろよっ! そしたら……何ヶ月でも何十ヶ月でも……おまえが俺を嫌いになるまで好きでいてやる」
「……有宮くん?」
わたしの瞳を真っ直ぐ見つめたまま、善雅くんはただ必死に思いの丈をぶつけてきた。