年の差と言えば大問題だけど所詮は365日
あの頃に戻りたい、大人になれないと宣うくせして、プライドだけは一人前。
負けたくない。失敗したくない。見くびられたくない。もっとできるようになりたい。
そうして空回ってもがいている時に会えば、こうちゃんはいつも私を丸裸にしてくれる。内側に火をともしてくれる。
店員が、個室のビーズカーテンをくぐり、白子ポン酢を持ってきた。こうちゃんが手のひらで私の方を示したから、目の前に置かれる。
「これ昔から好きだもんな、お前」
「うん」
お箸で挟むとつるりと抜け出る白子。初めて行った居酒屋で、初めてこれを食べたのは、確かにこうちゃんとだったと思う。
「―――大好き。」