勿忘草―愛を語る花言葉―
「俺っていい先輩だろ?」
「え? あっ、もちろんですよ。藤堂さんがいたから今の俺がいるわけですから」
突然の問いかけに戸惑いつつも、正直な気持ちを話した。
「アハハッ!! やっぱお前いいやつだな〜。そんな台詞を面と向かって言ってくるし。俺はいい後輩をもったよ」
「藤堂さんには負けますよ」
一年足らずの俺が仕事で敵うわけがないんだ。
ましてや人として尊敬している。
「まぁ、俺の教育のおかげで佐倉はここまで成長できたってわけか!! な、分かるか?」
「え……?」
問いかけの意味がさっぱり分からず頭を悩ませていると、藤堂さんはベンチの背もたれにもたれかかり顔を上空に向けた。
そしてフゥーと大きく一息つくと、視線だけこちらに向けてきた。
「何もできなかった新入社員をここまで成長させたわけよ。この仕事、佐倉にはまだできないだろ?」
「えぇ、そうですね……自分の仕事で手一杯ですから」
「だからそういうことなんだよ」