勿忘草―愛を語る花言葉―
「それにな、佐倉はもっと自信持て!!」
そう言われて、藤堂さんから思いっきり背中を叩かれた。
背中がジンジンする……。
けど、喝を入れてもらって少し目が覚めたかも。
「それにな、周りのやつらを見てみろよ。後輩に先を越されたってのに、誰一人として不平不満を言わなかっただろ?」
「言われてみれば……」
「みんな知ってんだよ、お前が頑張っていたこと。そして、その実力も認めてるってわけさ」
その言葉に不覚にも涙が出そうになった。
「それに俺も佐倉のこと認めてるよ。結局はお前の頑張りがあってこその結果だろ!! 自分の頑張りを認めて素直に喜べ!!」
目尻が熱くなるのを必死に耐え、その場で深くお辞儀をした。
「ありがとうございます!!」
凪咲の前でも弱音を吐かず自分の心の中にしまい込んでいた弱さを、藤堂さんは見つけてくれた。
不安でいっぱいだった心を少し軽くしてくれた。
やっぱり適わないな……。
もう少し自分を認めてもいいのかもな。
「よしっ佐倉、午後の仕事に行くか」
空き缶をごみ箱に投げ入れた藤堂さんは、社内へと歩きだす。
その後を急いで追っていると、藤堂さんは背中を向けたまま話しかけてきた。
「あっ、佐倉今晩飲み行くぞ! まだ悩んでることあるんだろ?」