勿忘草―愛を語る花言葉―

「佐倉何飲むか?」


「生にします」



カウンターに座り俺の言葉を聞いた藤堂さんは片手を少し上げ、近くにいる店員を呼び止めた。



「生とファジーネーブル」



……えっ?



「ハハッ。何て顔してんだよ。俺は甘党だ!!」



ジッポを取出し早々に煙草に火をつけ、視線をこちらに向けて得意げに言う。


ハッ、意外すぎだろ……。
一年も一緒に働いていて、藤堂さんが甘党だったなんて知らなかった。


それにしても藤堂さんの前だと顔に出てしまうのか、考えていることがすぐにばれてしまう。



「さ、遠慮せずに注文しろよ」



口に煙草をくわえたまま、メニュー表を手渡してきた。


一品料理から肉料理、魚料理にご飯物。

ありとあらゆる料理の数に何を注文しようか悩んでしまう。


たくさんありすぎると、悩んで迷ってなかなか決まらない。


ましてや先輩と一緒ともなると自分の好みだけで選べるわけもなく、メニュー表とにらめっこをしていた。





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