勿忘草―愛を語る花言葉―
「じゃあ、肉じゃがと鯵の開き、それと高菜チャーハンをお願いします」
やっと決まったメニューを店員さんに注文し、一息ついたところで煙草を吸い出す。
「煙草美味いよな」
しみじみと言う藤堂さんは、これで何本目かというほどの量を吸っていた。
かなりのヘビースモーカー。
「俺が悩んだ時は、もっぱらこれだな」
「煙草ですか?」
あまり吸うと体に悪いですよ……と自分が吸っているから言えるわけもなく。
それにしても藤堂さんでも悩むことがあるんだなと思ってしまった。
いつも自信たっぷりで、そんな様子は微塵も感じさせないのに。
「可愛い後輩が悩んでいるみたいだから、どうやって元気づけようかと思ってなぁ。だけど、こういう時はとことん悩むべきだな」
俺のこと?
思わず吸っていた煙草を手から落としそうになる。
「焦ってだした答えなんて後悔するぞ。悩むだけとことん悩め。そうすれば自ずと答えは出てくるはずだから」
煙草を吸い終えた藤堂さんはカニ味噌を箸でつまみながら、顔を合わせることなく淡々と話しを進めていく。
「結局、他人が何を口を挟もうとも、最後に決めるのは自分自身なんだから」
そうなんだよな……。
だからこそ、自分の中で解決しようとしていた。
決めるのは俺自身。