勿忘草―愛を語る花言葉―
「最近寝てないもん。私、成長したんだから。ちゃんと起きてるもんねーだ」
地面に視線を向けて独り言のように呟く凪咲は、まるで小さな子どものようだった。
こういうとこ、見てて飽きないよな。
“俺が見ていないと”という使命感に襲われる。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、隙がありすぎて目も離せない。
だから……
あんなこともあったんだよ。
はぁ……。
本当のとこを言うと、俺が凪咲をかまっていると言うよりも、振り回されてると言う表現がピッタリなのかもしれない。
凪咲はそうは感じていないだろうけど。
未だ視線を上げない凪咲を横目で見ながら、俺は繋いでいる手の人差し指で凪咲の人差し指をなぞってみた。
ビクンッと反応する体。
ゆっくりと視線を上げて、俺の顔を見たかと思うとパッと逸らす。
「も〜っ……」
恥ずかしそうに俯く姿を見ながら思うんだ。
これは細やかな仕返しってね。