勿忘草―愛を語る花言葉―
だんだんと近づく大学の校舎。
凪咲と他愛のない話で盛り上がって過ごす時間はあっという間で、
「到着〜!!」
俺の手をパッと離し、大学の正門まで先に駆けていった。
「隼人も早くおいでよ〜!」
大きな声で叫んで両手で手招きをしながら、満面の笑みを向ける姿に笑いが零れた。
うん……。
凪咲ってあの頃と変わってない。
無邪気で明るくて元気で、俺を笑顔にしてくれる。
唯一変わったのは、我慢するようになったことかな。
俺の卒業式、そしてその後――。
凪咲は数えきれないほどの涙を流して寂しがっていたから。
毎日当たり前のように大学で会っていたことが、当たり前じゃなくなって。
会えないことですれ違い喧嘩して、俺の見ていないところで泣いて……。
「はーやーとー?」
「あっ、ごめん」
再び声をかけられ、俺も凪咲が待つ正門へと駆けていった。