勿忘草―愛を語る花言葉―
「お二人さーん、こんなとこでイチャつかないで下さ〜い」
俺たちはその声に慌てて体を離した。
懐かしいこの声、俺とタメの……
「昴先輩!」
夏芽昴(ナツメスバル)
よく一緒につるんでいた、気の合う奴……なんだけど。
「隼人、凪ちゃん、久しぶり。相変わらず仲いいな〜」
と言いながら凪咲の頭を見せ付けるようにクシャクシャと撫でていた。
「昴も相変わらずだな」
俺はごく自然に凪咲の頭に置いていた昴の手を掴み、力強く握手した。
同じように力強く返してきたと思ったら、口角を上げてニヤリと笑った。
「ヤキモチ妬くなって!」
「えっ? 隼人ヤキモチ妬いてるのー?」
昴の発言にいち早く反応した凪咲は、上目遣いに目を輝かせて俺の顔を覗きこんでくる。
……勘弁してくれよ。
「早く行かないと式終わるよ?」
問いかけに答えない俺に、凪咲はむくれて不服そうな顔になる。
「アハハハハッ、こうしてると昔を思い出すなぁ」
なんて呑気に笑い出す昴。
俺が嫉妬深いって知っての行動で、昔からよくからかわれてたんだよな。