勿忘草―愛を語る花言葉―

「あれっ、凪ちゃん目の下が」



そう言った昴は凪咲の顔に触れようとした。



「あーっ、もう分かったから凪咲に触れるなって!」


「言っちゃったね?」


「ヤキモチ〜!!」



もういい、降参。

他の男が凪咲に触れるなんて。


耐えられるわけないだろ?

例えそれが冗談だとしても。



「素直になれよ〜!」



目の前で悪戯っぽく笑う昴の姿はあの頃とまったく変わっていなくて、俺さえもその雰囲気に流されてしまう。


凪咲の体を引き寄せ肩に手を乗せて、



「手出すなよ?」


「もちろん、俺には愛しのハニーがいるしね! ハハッ」



また赤くなっている凪咲の頭を撫でながら、昴と目を合わせて笑った。


こんな時間も久しぶりだな。


あの頃は当たり前のようにみんなで過ごしていた時間。


長い間離れていても同じように過ごせる仲間。


何だか無償にすべてのことが愛しく思えた。



……それはもうすぐ日本を離れることになるから感じる気持ちなのだろうか。





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