勿忘草―愛を語る花言葉―
彼女が掴む俺の心
三年前の春――。
「隼人〜あっちの娘は? ん〜、じゃあそっちの娘は?」
「……っとに、お前は女しか見てないな」
「当ったり前! むっさい男より、可愛い女の子に囲まれるほうがいいだろ。ほらっ、次は隼人の番!」
「はいはい」
八分咲きの桜の木が咲き誇る四月の始め。
高校生だった頃の面影が残る新入生たちが入学してきた。
新入生たちは目を輝かせ、これからの大学生活に期待している姿が見受けられる。
俺はと言うと、自分にもそんな時代があったよなと懐かしさを感じていた。
佐倉隼人、大学三年生。
二年間過ごしてきた大学生活は、確実に高校生だった頃の面影を消し去っていた。
入学式が終わると、学内はサークル勧誘の在校生たちで賑わいを見せる。
どのサークルも新入部員を集めるのに必死の様子。
俺が所属するバドミントン部(通称バード)も例外ではなく。
このネーミングセンスはいかがなものかと思うが……。
四年生以外(と言っても二・三年だけ)が新入生の勧誘に乗り出していた。