勿忘草―愛を語る花言葉―
俺は昴とペアになって新入生を勧誘していた。
そうは言ってもこういうのは苦手で、あまり乗り気ではない。
乗りがよくて明るい昴に任せきりだった。
「おらーっ! 隼人もいい女捕まえて来いっ!」
「うわっ……と」
突然勢いよく背中を押され、体が前につんのめる。
転ばないように必死でバランスをとり、
「昴ー!!」
後ろを振り返り昴を睨み付けた。
「あ、隼人後ろ〜」
「は? 後ろ!?」
ドンッ!!
昴に押された時よりも強い衝撃が背中に走る。
な……何?
何とか体勢を保ちながら、恐る恐る体を元に戻してみる。
「あ……すみません……すみません」
そこには地面に尻餅をついた状態で、必死で何度も謝る小柄な女の子がいた。
その姿が可愛らしくて、思わず笑いそうになるのを必死で堪える。
ぶつかった衝撃からか、バッグの中身は辺り一面に散乱している。
ゆるいウエーブがかった茶色の髪にクリッとした瞳。
少し赤くなった鼻に涙目になる彼女は、立ち上がろうともせずに俺を見上げてきた。
「あ……の、すみませんでした。大丈夫でしたか?」
自分のことなんか二の次で、人の心配をしてくるし。