勿忘草―愛を語る花言葉―

ようやく笑いもおさまった頃、他の新入生はやっと口を開いた。


多分この部室に入って初めて声を発したのではないだろうか。


それぐらい彼女が印象的で、声を出す暇がないくらいだった。


昴が勧誘した残りの三人。


工藤由希(クドウユキ)に菖蒲加奈(アヤメカナ)、杉浦正樹(スギウラマサキ)。


彼女も含め、自己紹介の後にホワイトボードに名前を書いてもらったんだけど。


人の名前を覚えるのが苦手な俺は、頭の中で何度も名前を反復。


そんな中、なぜか彼女“藤井凪咲”の名前だけはしっかりと脳裏に焼き付いていた。


ま、俺がサークルに誘ったし。

彼女の行動が印象的だったし。


名前を覚えるには十分だった。



「それじゃあ新入生たち、今晩暇? 新歓はまた別の日にするんだけど、今日みんなで飲みに行かない? あ、未成年はお酒は禁止だけど」



華の提案に新入生たちは直ぐ様首を縦に振る。



「えっ? 華先輩、今日飲みって聞いてなかったんだけど」



千理が首を傾げながら問い掛け、便乗するように周りも頷いた。


俺も知らなかったし。





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