勿忘草―愛を語る花言葉―
「さっき決まったから。四年の先輩たちも来るし、バイトがない人は強制参加ね!」
強制参加なんて言っているけど、みんな騒ぐの大好きだし。
飲みって聞いただけでテンション上がってるし、集まりいいだろうな。
「華悪い、俺パス。バイト十時まであるからさ」
盛り上がる周りから少し離れたところでこっそりと伝える。
周りに聞かれたら、特に昴なんか「バイト終わったら来い!」なんて言いだしそうだから。
居酒屋のバイトの後は本当にきついし、それは勘弁してほしい。
華は少し残念そうな表情を浮かべ、仕方ないとばかりに納得してくれた。
それで事は済むはずだった。
どこからわいて出たのか、彼女が隣にいた。
そう、藤井凪咲が――。
「佐倉先輩行かないんですか?」
あ、名前覚えてる。
なんて思いながら彼女へと視線を移す。
俺を見上げて眉尻を下げ、寂しそうな表情を浮かべる彼女。
まるで俺がいないと寂しいとでも言いたげな言動。
……彼女は無意識にやっているのだろうか?