勿忘草―愛を語る花言葉―
「うん、ごめんな」
「そうなんですね……」
何となく謝りの言葉をかけると、彼女はすっかり肩を落とした。
俺が行かないからってそんなに落ち込む?
まるで尻尾を振りながら近寄ってきた子犬を邪険に扱ったような気分になる……。
そんな姿を見て少し良心が痛みつつも、だからといって行く気もないし。
お互いにそれ以上言葉を発することなく、少し気まずい空気が流れる。
「アハハッ、隼人懐かれちゃったね」
そんな空気をぶち壊して、華が俺らの間に割って入る。
助かった……そう思ったのも束の間。
華は彼女の髪をくしゃくしゃと撫でて「可愛いね〜」なんて声をかけながら、俺の顔を見てクスリと笑うと、
「隼人〜今日バイト終わったら来なさい!」
飲み会強制参加を告げてきた。
「は? 何で?」
「だって凪咲ちゃん勧誘したのは隼人でしょ、責任とって面倒見てあげないとね!」
うーん、確かに勧誘したのは俺だけど。
ふと彼女を見ると華の横で勢い良く両手を振って「いいです」と慌てて言っている。
そんな姿が少し可愛く見えてしまう。
ったく、仕方ないな。
「ふぅ……分かったよ」
深いため息をつき、頭を抱えながら降参した。
責任とって面倒みるとするか。