勿忘草―愛を語る花言葉―
固く繋いだ手。
絡まる指から凪咲の温もりを感じる。
二人で歩く川沿いの道。
日も沈み、辺りは薄暗くなっていた。
「えへへっ」
「どうした?」
凪咲は突然笑いだし、頭を少し俺の腕にもたれかけてきた。
「こうやって隼人と一緒にいれて幸せだなぁって思って!」
また照れもせずそんな台詞言ってくる。
……けど、悪い気はしない。
むしろ毎日聞いていたい。
そう思うのは、俺が凪咲に惚れてるから。
「そうだな、俺も……」
俺が凪咲に伝えるのは、ほんの少しの言葉。
だけどそれだけで、凪咲はこれ以上ないってぐらい幸せな顔をして見せるんだ。
「隼人〜!!」
少し顔を赤らめながら、目尻を下げ口元を緩める。
その顔な、俺の前だけにしろよ?
凪咲のそんな顔が見れるのは俺だけでありたい。
仕事で疲れていたって、凪咲が笑いかけてくれるだけで頑張れるんだ。
俺にとってここは大切な場所。
……誰にもこの場所は譲れない。
そう思ってるんだけど。
最低でも三年。
日本を離れることになる俺が、果たしてこのまま隣にいていいんだろうか。