勿忘草―愛を語る花言葉―
とまあ、そんな話をした訳で“凪咲”と“隼人先輩”って呼び合うことになった。
それにしても天然でどこか放っておけないのに、変に鋭くて何気によく周りを見ている。
そのギャップに驚かされた。
たった一度だけ、呼び捨てになりそうになったっていうのに、よく気付いたものだ。
中々侮れないな……
なんて感心させられたもんだ。
「おっ、噂をすれば。あれ、凪ちゃんじゃない?」
反対側から歩いてくる数人の初々しい感じの女の子。
楽しそうに笑いながら話をしている彼女たちの一人が、不意に前を向くと「あっ」とでも言いたいような顔をした。
そして友達に何か言って、その輪から抜けるようにこちらに近づいてくる。
「隼人せんぱーい! ……と、えっと……」
駆け寄ってきたのは、昴が言うように凪咲だった。
笑顔も一瞬。目を泳がせて考え事をしている模様。
「凪ちゃん、俺のこと覚えていないの〜? 昴だよ、す・ば・る!」
「あ、すみません、昴先輩でしたね、すみません……」