勿忘草―愛を語る花言葉―
申し訳なさそうに眉尻を下げて青ざめた顔になる凪咲。
「もう覚えたでしょ?」
そんな凪咲とは対照的にゲラゲラと笑う昴。
「はい、もう絶対忘れません!!」
昴の陽気な雰囲気に、少し安堵の表情が垣間見える。
俺はそんな様子を客観的に見ていた。
「けどさ、凪ちゃん」
「はい……」
そして二人の会話をぼんやりと聞きながら、眠くて仕方がない俺はのんびり欠伸でもしていた。
「隼人のことだけ覚えてるってことは、もしかして、惚・れ・た?」
……はぁ、まったくこいつは。
おかげで少し目が冴えたけど。
「……っ!! 痛って〜!! 隼人手加減しろよ〜」
「昴がすぐにそういうこと言うからだろ?」
さっきと同じ場所を叩いてため息をついて俯いた。
昴はすぐに人をからかって楽しむんだから。
こういうやりとりも日常茶飯事。
いつも同じことの繰り返しなのに、懲りもせず何度でも言ってくるし。
「あれっ? 凪ちゃん?」