勿忘草―愛を語る花言葉―
そう言えば凪咲はお昼どうしたんだろう。
そんなことを思いながら、サークル会館へ向かっていく。
春の麗らかな昼下がり。
中庭では大道芸やダンスの練習を行っているサークルや、お昼を食べに食堂へ向かう人の波。
そんな様子を見ていると、無性にお腹が空いてきて携帯を取り出した。
「……あれっ?」
電話をかけた相手は凪咲。
もうお昼を食べたなら、パンでも買って部室に行こうかと思ったんだけど。
出ない。
気付かなかっただけかと思い、再びかけてみてもコール音はするものの出ない。
不思議に思いながら何も買わずに、俺はそのまま部室へと向かっていった。
サークル会館の階段を登り、部室の前に着く。
メンバーの話し声が聞こえないから、きっと凪咲一人なんだろう。
電話にも出なかったし、一体何をしているのかと、期待にも似たような気持ちになる。
少し胸を弾ませながら、俺は鍵の空いているドアにそっと手をかけた。