勿忘草―愛を語る花言葉―

――この日、これから先も凪咲の面倒を見るのが俺だと決まった……らしい。



「刷り込みですよ、刷り込み」


「どういうこと?」



俺の囁きで本当に起きてしまった凪咲を引きつれ、食堂へとやってきた。


一番端の席に座り、俺と凪咲だけ昼食を食べていると、千理が少し声を弾ませながら話し始めた。



「ヒナが卵からかえって、初めて見たものを親と思うじゃないですか。
凪ちゃんが大学に入学して間もなくてまだ心細い時、偶然にも隼人先輩とぶつかって転んで……手を差し伸べたんですよね?
きっとその時に凪ちゃんの頭にインプットされたんですよ、隼人先輩がね」



「なるほど〜」と頷く昴と凪咲。


まるで自分のことじゃないように千理の話を聞いている凪咲。


あまりにも真剣な姿がおかしくなって、顔を緩ませていると、



「隼人先輩もまんざらでもなさそうですしね」



と、千理に言われてしまった。



「あぁ、そうかもしれないな」



そんな俺の発言で昴が妙にテンションが高くなり、凪咲は顔を赤らめたことは……予想通り。



俺になついた後輩は、その言動が予測不能で、見てて一緒にいて俺を飽きさせない。


そんな凪咲の面倒を見ることは、別に嫌でもないし……まぁ見てやるか、なんて思ったりする。


そうして、先輩と後輩という関係だけど、俺と凪咲は距離を縮めていったんだ。





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