ブック・ワーム
「だいいち、俺はお前のずっと後ろにいたんだぞ。」

俺たちの頭上に、なんか雲のようなものが出てきて、その時のビジョンが映し出される。

俺が回転するたびに、この着ぐるみは俺の背後に移動し、また、俺が移動すると、同時に背後に移動している。

「な?ずっと後ろにいただろ?」

時田「た、確かに…。でも、こんなんじゃずっと見つかんないじゃないかっ!!動かないで、じっとしてろよ!」

「甘えんなー!」

ドカッ

今度は、俺のあごに痛恨のアッパーが飛んできた。

時田「ぬごっ!」

あ、危ない…。もうちょっとで、舌噛むとこだったよ。

ま、まったく、次から次へと暴力振りやがって。

危険な奴だな…。

コイツから、早いとこ逃げないといけないな…。

「逃げてもいいが、お前死ぬぞ?」

時田「えっ?」

「村の外は、魔物がうようよしてんだぞ。お前みたいな、へなちょこ野郎がのんきに出て行ったところで、ボッコボコのギッタンギッタンにされて、あとは食われて骨になっちまうのがオチだ。そしてその骨は、犬にくわえられちまうんだろうな〜。ああ…、お前も哀れな奴だったぜ。」


チーン


いつの間にか、鐘と線香を取り出して、手を合わせている。

時田「ま、まだ、死んでないだろ!!勝手に殺すなっ。そ、それにこれは夢だろ?」
< 10 / 27 >

この作品をシェア

pagetop