ブック・ワーム
「そんなことしても、ムダだぞ。」



え?誰かなんか言った?

俺は、あたりを見回してみた。

けれど、まわりには誰もいない。

時田「なんだ…。空耳か。」



「空耳なんかじゃねぇぞ?」



また、同じ声が聞こえてきた。

いったい、どっから聞こえてくるんだよ?

まさか、夢だからって、天の声なんて言うなよな〜。

俺は空を仰いでみた。

澄みきった青空だ。



「何、上見てんだ?下をよく見てみろ。このスットコドッコイ。」



スットコドッコイ…。

そんな言葉、テレビ以外で聞いたことないよ。

だいいち、下ってどういうことだよ。

まぁ、いいか。

下を見ればいいんだな。

え〜っと。

下を見てみると、そこには土の地面しかなかった。

え?下にもいないじゃん。

見える範囲で、地面を見回し、足元も見てみた。

何だよ。何にもねぇし。
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