ブック・ワーム
俺は、それが何なのかまだよくわからなくて、じっと見つめてみた。

「何じろじろ見てんだ?お前から見つめられても、ちっとも嬉しくねぇぞ。」

それがくるっと回転して、俺に顔を近づけてきた。

あまりにも近すぎて、それが化け物に見えた俺はびっくりしすぎて、そのまま体制をくずし、前回りしてしまった。

時田「う、うわぁ〜っ。」

ドテ〜ン

「びっくりしすぎだろ。コントしてるわけじゃねぇんだぞ。」

時田「ば、化け物だっ。」

「お前失礼だな〜。よく見てみろ。これは着ぐるみだぞ。このかわいらしい俺を捕まえて、『化け物』とは、なんてけしからん奴なんだ。」

時田「き、着ぐるみ?」

俺は打った頭を抑えながら、そいつを見てみると、確かにそれは着ぐるみだった。

しかも猫。

な、なんで着ぐるみ?

それに、コイツ妙にちっちゃくないか?

しかも、宙に浮いているような…。

まぁ〜、別に夢だからどうでもいいか。

時田「それはいいとしてさ〜、どうしてすぐに出てこなかったんだよ?」

「『それはいい』とは何だー!この美学のわからないスカポンタンめー!」

ドカッ

ちっちゃい着ぐるみの右ストレートが俺の顔面にみごとに決まった。

時田「ぶへっ!な、殴ることないじゃないか!?」

「状況とは常に変化するもんなんだぞ。それに対応できないお前の方が悪い。」

えーーっ!!なんか言ってること無茶苦茶だーっ!

横暴だ。横暴すぎるよ、この着ぐるみ〜。
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