恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
2章
われても末に
苔が生えそうなほど降り続いていた雨で、すっかり湿りきっていた空気は今や見る影もなくカラッと乾いている
つい3日前、ニュースが梅雨明けを知らせていた。
季節が移りゆくのはあっという間で、じっとりとした暑さが目立つ7月中旬。
高校に入学して、早くも3ヶ月が経っていた。
私は相変わらず、古典研究部の部員のみんなと好きな古文について語ったり、古典関係なく雑談したりと自由に過ごしている。
雅臣先輩は平家物語にはまった業吉先輩に意味を教えたり、紫ちゃんは小説に生かしたいと紫式部の源氏物語を読み込んでいる。
私は相変わらず百人一首にこだわっていて、先日趣向を変えて百人一首の漫画を読み始めた。
ひとつひとつの和歌が物語になっていて、より世界に引き込まれる名作だ。
この3カ月で、私たちの絆はもっと強くなった気がする。
この世界に、居場所なんてなかった私達。
自分が何者で、何になりたいのか、迷子だった私達。
誰よりも孤独の寂しさを知っているから、なおさらこの古典研究部という居場所を大事に出来るのだと思った。