恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「ねぇ、小町先生、学校に復帰したんだね」
今は朝のホームルームが終わり、授業までの10分間休憩の時間の事だった。
今日は、やけに教室が騒がしい。
耳を澄ませると、「小町先生?」、「えー、誰それ」という声が飛び交っており、私も気にかかっていた先生の名前が話題に上がっているようだった。
というのも、先のホームルームで担任の先生が知らせた荒井小町(あらい こまち)先生の復帰。
何で休んでいたのか説明もなく、ただ復帰した事実しか担任の先生からは伝えられなかったのだ。
けれど、クラスメートの何人かは事情を知っているような口ぶりにも聞こえる。
「紫ちゃん、小町先生って誰だろう?」
私は隣の席に座る紫ちゃんに話しかける。
友達になってからは、紫ちゃんが教室でスマホを見ることはなくなった。
もちろん私も本を読むことが少なくなった。
本以上に、紫ちゃんと話すことが私にとっては大切な時間だったのだと気づいたからだ。
その代わり部活で一生懸命、好きなことに没頭している。
みんなと話す時間が楽しい、部員のみんなとたくさん話をしたい。
そう思える人たちに、出会えて良かった。
この奇跡のような縁は、雅臣先輩が引き寄せてくれたのだと思う。
本当に雅臣先輩は、私を照らす光のような人だ。