恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。




あの後、音楽室に到着するころには授業が始まってしまい、私達は軽く先生に叱られた。

だけど、心は晴れやかだった。

朝霧先輩と小町先生が、幸せになるための手助けをする事ができたのだから。

そして放課後、私と紫ちゃんは朝霧先輩を連れて部室に向かっていた。

昼休みにみんなで、昼食を食べた時の話だ。

移動教室の時にあった出来事を雅臣先輩や業吉先輩に相談したら、部室にふたりを呼び出して、話せる機会を作ってあげたらいいんじゃないかという話になり、今に至る。


「小町先生、来てくれんのかな……」


前を歩く私と紫ちゃんの後ろで、朝霞先輩は不安を漏らした。

振り返ればカチコチの頬、引き結ばれた唇、緊張しているのか表情筋が凝り固まっているのが見てわかる。

私はそんな朝霞先輩の隣に並んで、その背中をポンッと軽く叩いた。
< 114 / 226 >

この作品をシェア

pagetop