恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「あなたは、即刻クビです!」
ふたりの仲を裂くようにして、教頭先生は小町先生を怒鳴りつける。
その瞬間に空気が凍りつくように張り詰める。
部室の入口で呆然と立ち尽くすしかない私と紫ちゃんのそばに、雅臣先輩と業吉先輩がやってきた。
「……お前ら、タイミングの悪いところで帰ってきたな」
業吉先輩の苦笑混じりのひと言に、雅臣先輩は「いや、俺が悪い」と言って私たちを背に庇うように立つ。
「教頭が部室に来るなんて、想定外だった」
苦虫を噛み潰したような顔で、教頭先生たちを見つめる雅臣先輩。
確かに、教頭先生が来るなんて思わないよね。
もしかしたら、小町先生に念を押すために来たのかもしれない。
生徒と恋愛関係になるなって。
だから雅臣先輩が悪いわけじゃない、そんな気持ちを込めて彼の腕の服をキュッと掴む。
雅臣先輩は私を振り返ると眉尻を下げて「清奈……」と頼りなさげに呟いた。
「エスパーじゃないんですから、誰にも予想できなかった事です」
そう言えば、雅臣先輩は「あぁ、ありがとう」と少し笑ってくれた。