恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「クビって……そんなの、いきなりすぎだろ!」
朝霞先輩は声を荒らげて、教頭先生をキッと睨む。
クビとか、そういうのって教頭先生が決められる事じゃないはず。
売り言葉に買い言葉なんだろうけど、簡単に口にしていい事じゃないし、酷すぎる。
「生徒が教師にタメ口……まったく、素行が悪い」
虫けらのように、朝霞先輩を横目で見た教頭先生。
驚愕の表情を浮かべて言葉を失っている朝霞先輩の後ろで、小町先生はひたすらに俯いていた。
そんな……それだけで素行が悪いって……。
朝霧先輩はただ、好きな人を守りたかっただけなのに。
じゃあ生徒は、先生に意見すら言ってはいけないの?
胸の中にモヤモヤが溜まって、うまく説明出来ない感情に涙が出そうになった。
「ふたりが特別な仲である以上、処分を下します」
「え──教頭先生! 朝霧くんは関係ありません!」
弾かれるように顔を上げた小町先生は、教頭先生のそばに駆け寄り、その腕を縋るように掴んだ。
それにギョッとした教頭先生は、「離しなさい!」と小町先生を勢いよく振り払う。
「きゃっ……」
その瞬間、小町先生が床に倒れ込んでしまった。
あまりの横暴さに、私は駆け寄る事も声をかける事も出来ずに動けなくなってしまう。