恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
常闇に想ふ
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今から2年前。3月25日、忘れもしない。
俺達の運命の歯車が狂いだした、最初の悲劇。
中学を卒業したばかりの俺は、弟の雅臣と駅前にあるショッピングモールに向かうため、道路沿いの道を歩いていた。
『雅臣、今日何を買うんだ?』
『今日は新しい和歌集を買おうと思ってるよ。そうだな、清少納言集あたりが手に入るといい』
『……相変わらず、和歌オタクだな』
俺は隣を歩く雅臣を横目に、双子なのに趣味がとことん合わないな、と苦笑いする。
俺達は一卵性の双子で小さい頃は親でさえ名前を呼び間違える事があったほど、顔もお互い生き写しのようにそっくりだった。
だか、中身は全くと言っていいくらいに違う。
雅臣と俺は中学も同じだったのだが、文化部と運動部で別々の部活に入っていた。
俺は弓道部に入り、雅臣は自分で立ち上げた古典研究部に入部。
スポーツが得意で勉強が苦手な俺と、勉強が得意でスポーツが苦手な雅臣。
俺たちは似ているようで、全く別の人間だ。
仲良くなって行くうちに友人にも見分けがつくくらい、違いは明白だった。