恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
『4月から通う高校には、古典研究部がないんだろう? お前、古文命な人間なのに、どうするんだよ』
俺たちは4月から楓高校に通う。
県内でも数少ない弓道部がある高校だから選んだのだが、雅臣はどこでもよかったらしい。
俺がいるから、という理由だけで同じ高校を受けた。
俺達は男兄弟には珍しいくらいに、気が合う。
双子だと何かと比べられて面倒ではあるが、その苦悩を知るのもまた、自分の片割れである弟だったから。
休日は一緒に買い物に出掛けるし、家にいてもどちらかの部屋でゲームをする事もある。
『んー? もちろん新しく作るよ』
『そう言うと思った』
本当に古典の事しか頭にないんだな、雅臣は。
古典研究部さえ作れれば、学校なんてどこでもよかったんだろう。
『なんで、古典研究部にこだわるんだよ』
ふと、不思議に思った。
中学の時とは違って、高校は全員が部活に入らなきゃいけないわけじゃない。
だから別に部活を作らなくても、家で好きな古典について研究していればいいのに。
わざわざ、部活にする必要があるのだろうか。