恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「お前が俺の悩みを聞いてくれた時、話してるうちに気が楽になった」
「え?」
私達がこの部に入ったばっかりの頃、進路希望調査票を巡って言い合いになった事があった。
あの時はお互いに胸に溜まっていたもどかしさをさらけ出し合って、なんだかスッキリしたんだったな。
「胸の中で渦巻いてた色んな気持ちが、整理されてくみたいだった。そうしたら、俺のしたい事が少しだけ鮮明に見えるようになってさ」
話していくうちに……か。
それなら、私もみんなに話したら、今この胸の中にある色んな感情の答えを見つける事ができるのかな。
「ひとりで無理なら、みんなで答えを見つけたらいいのよ」
小町先生は言い聞かせるように、私に優しい眼差しを向ける。
みんなの言葉に背中を押された気がして、自然と頷いていた。
ここは、ありのままの私を受け入れてくれる場所だ。信じよう、みんなのことを。
そう思った私は、静かに口を開いた。
「実は昨日、先輩に会ったんです」
「先輩って……雅臣先輩にか?」
業吉先輩の言葉に、私は頷かなかった。
私の中で景臣先輩と雅臣先輩の存在は、完全に分かれてしまったからかもしれない。