恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「始めは、私をからかってるのかと思ったわ。だって、私と彼は9歳差、ひとまわり近く歳も離れてるんだもの。だけど、彼のストレートな言葉や辛い時にさりげなくそばにいてくれる……そんな朝霧くんに、気づけば恋をしてた」
婚約者がいながら朝霧先輩に惹かれる小町先生と、初恋の人がいながら景臣先輩に惹かれてしまう私は──。
どこか、私に似ていると思った。
「婚約者がいるのに、教師なのに……生徒である朝霧くんに惹かれるのは、許されないと思ったわ」
「小町先生……」
「けどね、頭で考えてもしょうがないの」
「頭で考えても?」
「2年前、あなたが雅臣くんに恋をしたのも、一緒にいるうちに、景臣くんに新たな恋をしたのも、どれも本物の気持ちだわ」
景臣先輩への新たな恋。
それは同時に、記憶が無いとはいえ、和歌で告白してくれた雅臣先輩を裏切るような気がして、胸がズキズキと痛む。
そんな私の迷いを払うように、小町先生は言った。
「清奈さんの話を聞く限り、あなたはもう……そばにいたい人を心に決めているんじゃないかしら」
「それは……」
そう言われて思い浮かぶのは、ひとりだけだ。
私をずっとずっと守ってくれていた景臣先輩だけ。
彼の存在が確かに、私の中で想い人の形を成していく。
「どんなに許されなくても、心が惹かれてしまうから、人はそれを恋と呼ぶのだと私は思う」
その言葉で、ハッとした。
もう、どんなに否定しても誤魔化しきれない。
理由が罪悪感にしろ、自分よりも他人を想う彼を泣きたいくらいに私は──。