恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
君に幸あれ
けれど、景臣先輩は次の日も、その次の日も学校には来なかった。
待つだけでは埒が明かないので、昼休みに古典研究部のみんなで、職員室にいる小町先生を訪ねた。
「小町先生、景臣先輩は今日も休んでるんですか?」
私が尋ねると、小町先生は言いずらそうに「それが……」と言葉を濁す。
それに余計、胸に不安の雲がモクモクとわいてくる。
「なんだよ小町先生、景臣先輩になんかあったのか?」
「心配です」
業吉先輩と紫ちゃんの表情には、景臣先輩への心配の色がうかがえた。
見かねた小町先生は、ひとつ息をつくと、意を決したような私達の顔を強く見据える。
「それが……景臣くん、1週間後に転校するらしいの」
「……え?」
小町先生から告げられたのは、衝撃の事実だった。
景臣先輩が……転校する?
この学校から、古典研究部からいなくなる?
どうして……何も言わずに、勝手にそんな事を決めてしまったのだろう。
私は鈍器で頭を殴られたみたいに、しばらく放心していた。