恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「……すまない、君を待ってやれなくて……」
眉根を寄せて、泣きながら私に謝る雅臣先輩に私はどこまでも清々しい気持ちで笑い返す。
「いいんです、私も先に進む事を選んだから」
きっと、記憶を取り戻したわけじゃない。
だけど、どこかに私と過ごした時間が欠片でも残っている。
ただれそれだけで、十分だった。
「雅臣先輩」
「あぁ」
「私にも……新しい居場所ができました」
「そうか……」
「辛い時、そばにいてくれた大切な人がいました」
「そうか……君がひとりじゃなくて、よかったっ」
嬉しそうに、雅臣先輩は笑った。
この笑顔に、私はずっと救われていた。
ありがとう、雅臣先輩。
私に自分らしく生きるための1歩を踏み出させてくれて。
君への恋が、私の人生の始まりでした。