恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「ちなみにそれは……もしかして景臣の事?」
「え?」
どうして、わかったんだろう。
私にとっての大切な人が、景臣先輩だって事。
目をぱちくりさせる私に、雅臣先輩はどこか嬉しそうにフワッと笑う。
「前に君が、俺の前から走り去った時の事を覚えてる?」
「あ……はい」
雨の日、改札を降りた雅臣先輩を追いかけた日の事だ。
そして、景臣先輩が雅臣先輩のフリをしていたという真実を知った日でもある。
「あの時、俺は君と同じ学校だからっていう理由だけで、兄に電話したんだ」
それで景臣先輩は、私を雨の中追いかけてきてくれたんだった。
あぁ、雅臣先輩を想うと溢れる想いに胸がいっぱいになる。
嬉しくて切なくて。
苦しくて、愛おしくて。
そんなたくさんの感情が集まって、君への好きに変わる。