恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「ありがとうございます、雅臣先輩」
別れ際、公園の出口で雅臣先輩な向き直ると深く頭を下げた。
彼はそんな私の肩に手を乗せて、「俺の方こそありがとう」と言った。
顔を上げた私は、目に焼き付けるように雅臣先輩を見つめる。
そして、「それじゃあ……」と駅に向かって歩き出した私は、もう一度足を止めて振り返った。
「あの、雅臣先輩……!」
声を張らなければ、届かない距離。そこから、私は雅臣先輩に向かって叫ぶ。
「なんだー!?」
私と同じように叫ぶ雅臣先輩に精一杯の笑を浮かべると、感謝を込めてこの言葉を贈った。
「幸せになってくださいねー!」
それを聞き届けた雅臣先輩は、どんな顔をしていたかわからない。
けれどたぶん、笑顔だったと思う。
「約束する! だから清奈も約束してほしい!」
「なにをですかー!」
「絶対に幸せになるってー!」
「っ……」
彼から贈られた言葉にわ私は言葉を詰まらせる。
あぁ、私たちのもつれた糸がようやくほぐれた。
あとは景臣先輩に、今の私の想いを伝えるだけだ。
「──はい、必ず!」
また会えたら、今度は友達になりたい。
私たちの縁は未来でも繋がってると信じて、雅臣先輩に負けない笑顔で手を振る。
そして私は初恋に別れを告げ、会いたい人の元へと歩き出した。