恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
瀬をはやみ
「はぁっ、はっ………間に合った……!」
雅臣先輩と別れた私は、走ってホームに到着した電車に乗りこむ。
この電車に乗れないと、本格的に学校を遅刻してしまう。そうしたら、景臣先輩に会えないかもしれない。そう思ったら、1度でも休もうなんて思わなかった。
走り出した電車の窓から見える空には、世界を照らす太陽が輝いている。
前に、陽だまりのような人になりたいと思った事があった。
それは、そばにいるだけで周りの人を笑顔にしてしまう雅臣先輩のような人になりたいと思ったからだった。
それは今も変わらない、けど──。
今はもうひとつ、なりたいものを見つけた。
誰にも気づかれない常闇の中。自分が傷ついても、深い思いやりをもって優しくできる。誰かのために心を捧げられる淡い月光のような人──景臣先輩のような人に、私はなりたい。