恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
ホームルームが始まる15分前に学校についた私は、下駄箱で慌ただしく上履きに履き替えていた時だった。
「清奈ーー!」
大きな声で名前を呼ばれて、視線を向ける。
そこには息を切らして、肩を上下させながら駆け寄ってくる業吉先輩と紫ちゃんがいた。
「え、ふたりとも、どうし──」
「いいから、部室来い!」
「えっ……」
有無を言わさず、業吉先輩は私の手を引いてどんどん部室の方へ歩いていく。
最寄り駅に着いてからここまで全力で走ってきた私は、足が疲労でパンパンだった。
時々もつらせながら、なんとか彼の後をついていく。
「業吉先輩、どうしたんですか!」
「…………」
「私、景臣先輩に会いに行かないと!」
「もう、間に合わないかもしんねぇ……っ」
業吉先輩は振り返らず、苦しげにそう言った。
間に合わないって……どういう事?
私はざわつく胸に大丈夫だと言い聞かせて、嫌な予感を頭から払拭する。