恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「……これ……」
ふざけているわけでも、ただ反抗しているわけでもない気がした。
そう思うのは、私も進路希望調査票に【医者】と書くたびに思うからだ。
──私の夢でもないのに、くそくらえって。
何の迷いもせずに進路調査票を書ける自分が嫌になる。
あらかじめ答えが用意されているから、迷わないのだ。
「……はぁ」
あの男の子の不幸も一緒に背負ったように、ため息をつく。
私は早くその場を立ち去りたくて、廊下をまた突き当りまで進む。
1階の、1番端の教室。扉は元は白だったのだろうが、今はくすんでベージュに近い色になっている。
「すぅ、はぁ……」
私は取っ手に手をかけて深呼吸をした。
雅臣先輩──……。
心の中で会いたい人がそこにいますようにと願いながら、静かに扉を開ける。