恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「うぅっ……」
こみ上げてくる嗚咽と共に、涙が頬を伝う。とめどなく溢れる悲しみと共に、川のように流れる。
どうしてもっと強く、私を繋ぎ止めていてくれないのだろう。
これじゃあ、「君が好きだよ」って報告しただけだ。言い逃げと言っても過言ではない。
きっと、景臣先輩は一緒にいてほしいとか、待っていてほしいとか、その先を望んでいないのだ。
幸せになる事を罪だと思っているから。
「それほど私を想ってくれてるならっ……どうしてっ」
どうして、好きになれって言わないの。こんな紙切れ1枚を残して勝手にいなくなろうとするの。
君が幸せになっちゃいけない理由なんて、どこにもないというのに。
「ただの……罪悪感だと思ってた……」
君は雅臣先輩と私が結ばれなかったのを自分のせいだと思ってる。
その罪悪感から、そばにいてくれてたんだって思っていたのだけれど……。
「違ったんだね」
雨の日、景臣先輩が私に真実を告げた日。
君は『……大切だったのに、ごめんな』と言った。
あの時の、あの言葉は──本心だったんだ。
ろくに先輩の言葉の真意も確かめもせず、突き放したのは私のほう。
真意を知るのを怖がって、逃げてしまった。