恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「ごめんなさい……ごめんなさいっ」
今まで、どんな想いで私のそばにいたのだろう。
景臣先輩は本気で、私と雅臣先輩のためなら心を殺してもかまわないと思っていたのだ。
でも私や古典研究部のみんなと出会って、自分らしく生きたいと思ってくれたのかもしれない。
そんな気持ちの変化が、残された和歌から伝わってくる。
そんな景臣先輩の苦しみにも気づかずに傷つけて……その報いなのかな。
君は私に返事もさせてくれないまま、遠い所に行ってしまった。
「私は他の誰でもなく、景臣先輩の事をっ──」
こんなにも想っているのに……!
和歌を抱きしめて、私は泣き崩れる。
そんな私の肩に、躊躇いがちに誰かの手が乗った。
「清奈ちゃん」
顔を上げると、涙目の紫ちゃんがいる。私はたまらず、彼女の胸に飛び込んだ。
「ううっ、どうしよう……!」
この悲しみをどこへ向ければいいの?
これから先、私はどうやって生きていけばいいの?
紫ちゃんは何も言わずに、泣きじゃくる私の背に腕を回してくれる。
「っうぅ……」
「清奈、泣いてる場合かよ!」
すると業吉先輩が私のそばにやってきて、そう叫んだ。
私は涙でぐちゃぐちゃな顔で、業吉先輩を見上げる。
「まだ、遠くに行ってないかもしれないだろ!」
「でも、どうやって見つけるの……? 無理だよっ」
この広い世界で、景臣先輩を見つける事は不可能だ。
絶望の海にのまれていくように、気持ちも沈む。