恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「──気づいたら、清奈に恋をしていた」
「っ……ありがとうございます、景臣先輩」
「お前が好きだよ、清奈」
「嬉しいです、心から……」
その言葉が聞けて、良かった。
君から逃げなくて良かった。
最後まで君を追いかけてよかった。
嬉しくて頬を伝っていく涙は、今まで流したどの涙より温かかった。
「俺を見て、俺を好きになってほしいって……ずっと思ってた」
「もうとっくに、好きでしたよ」
「そうか……ははっ、嬉しいよ」
そう言って笑った景臣先輩の顔は、淡く優しい月のよう。
初めて、曇りのない景臣先輩の笑顔を見た気がした。
「清奈、俺はお前が好きだけど、雅臣が心配だから……」
「行くんですね」
景臣先輩は雅臣先輩と一緒に、脳外科で有名な病院のある地方の学校へと行ってしまう。
それは寂しいけれど、雅臣先輩を支えられるのは兄弟である景臣先輩だけだから。
「あいつをほって置けないんだ」
「……はい、わかってます」
見つめ合う私たちの間に、風が吹き抜ける。
その時間が、永遠にも感じた。
時が止まればいいのにと思うほど、君が好きだ。