恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「私と一緒に」
「っ、そうだな……ありがとう」
なぜか息をつまらせて雅臣先輩は目を閉じると、そのまま何かを考え込むような顔をした。
私たちの間を流れる奇妙な沈黙に、胸がざわついた。
その違和感に耐えられず、私は「あぁ、でも!」と明るい声で静寂を割る。
「部活の加入届、今しがた進路希望調査票に変わってしまったので、加入届は明日提出してきますね」
「なんだ、どういうことだ?」
ひらりと持っていた他人の進路希望調査票を持ち上げると、先輩は目を点にする。
私は「ははは」と苦笑いして、事情を説明することにした。
「廊下で男の子とぶつかった時に、持ってた紙が交換こになってしまったみたいで」
「それは災難だったな、加入届はいつでもいい。それがなくたって、部長の俺がここにいることを許す」
その言葉に中学生の時、雅臣先輩から言われた言葉が脳裏に蘇ってきた。
『行く場所がないなら、ここにいればいい』
まるで、今もそう言ってくれているみたい。
やっぱり、私の居場所は雅臣先輩の隣にあるのだと思った。