恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
春の夜の夢のごとし
翌日の昼休み。
購買で買った新作のカマンベールチーズとレタスのサンドイッチを平らげだ私は、ほど良い満腹感の中で読書していた。
「あの、小泉 清奈さんはいますか」
ふいに先ほどまでざわついていた教室が、水を打ったように静まり返る。
「ん……?」
私は名前を呼ばれたような気がして、何事かと何度も読み込んでいる百人一首の本から顔を上げた。
クラスメートの視線は私と教室の入口に向かって、半々くらいの割合で向けられている。
「あの、小泉さん」
教室と入口に立っていた女子生徒が、私を振り返って声をかけてきた。
「2年生の先輩から、呼び出しだよ」
「よ、呼び出し?」
クラスメイトは戸惑いを含んだような目で、そう言った。
私、なにか目をつけられるようなことしたっけ。
呼び出した人物に目を向けると、そこには見覚えのある金髪ヤンキーがいた。