恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「あ……」
そこにいたのは、昨日部活の加入届と間違って、進路希望調査票を差し出した在田業吉先輩だった。
在田先輩の手には、1枚の紙がある。
部活の加入届、届けにきてくれたのかな。
そう思った私は、鞄から在田先輩の進路希望調査票を取り出して席を立った。
「ねぇ、あの先輩めっちゃ顔怖くない?」
「小泉さん、何したんだろう」
教室の出口に向かう途中、そんなクラスメートの声が聞こえてきて、居心地が悪い。
最悪だ。私、目立ってる……。
話が終わってからのクラスメートの反応が気がかりだったが、断ることができない私は処刑台に向かうような気持ちで在田先輩の前に立つ。
「ここじゃなんだから、場所を変えたい」
在田先輩は静かにそう言った。
その瞬間、怯えるようなクラスの空気が花のフレグランスを撒いたかのように、ふわふわとする。