恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「いや……別に」
「そ、そうですか……」
どうしよう……。
進路希望調査票に【くそくらえ!】って書いた理由、聞いてもいいのかな。
どうして聞きたいと思ったのか……たぶん私は、同族を探しているのかもしれない。
広く浅い人間関係を築ければいいなんていいながら本当は、わかりあえる誰かを探してるのかもしれないと思った。
「あの、この進路希望調査票……」
「……見たのか」
「っ、えっと、その……」
鋭い視線に射抜かれて、私は喉がキュッと締まるのを感じる。
そうだよね、確かに勝手に見たのはまずかったよね。
ちゃんと謝ろうと、震える唇を開く。
「す、すみませ……」
「はっきり言えよ、見たんだろ」
私の謝罪を遮って、イライラしたように在田先輩は言った。
はっきりモノを言えないところは、私の悪い癖だ。
揉めるくらいなら、言うとおりにしよう。
喧嘩になるくらいなら、愛想笑いで人当たりのよさそうな人間を演じよう。
そうやって生きてきた。
その方がずっと利口で、楽で、世渡り上手だと思うから。
けど、そうじゃない人もいるんだな……。
本音を隠されることで、怒る人もいる。
それは相手が真剣に向き合ってくれているのに、私が当たり障りない適当な返事をしているからなんだろうと思った。