恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「ごめん、物部さん」

「え?」

「私、物部さんが何か言いたそうにしてたの気づいてたのに、私と話したくないのかなって勘違いしてた」


物部さんの言葉を待たずに踵を返す瞬間、どんな気持ちでいただろう。

落胆したのかな、寂しかっただろうな。

そう思ったら、胸がキュッと締め付けられる。


「いいんだ、それは勇気を出せなかった私が悪いから」

「物部さん……」

「それに、小泉さんが夢中になれるモノがあっていいなって、今度読ませてねって言ってくれて……」


それって確か……。

物部さんが階段の踊り場でクラスの女子に囲まれていた時に私が言った言葉だ。


「救われたんだ……小泉さんの言葉に」

「救われた?」

「私がずっと誰かに、言ってほしかった言葉だから」


そう言った物部さんの頬に伝う涙。

それを見た瞬間に、胸が何かに打たれたかのような感動に包まれる。

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